zeh_roadmap
先週、経産省資源エネルギー庁より「ZEHロードマップ検討委員会中間とりまとめ(案)」が発表され、それに関するパブリックコメント(意見公募)が行われています。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620215018&Mode=0

来年度の概算要求から見るZEH

先月末、経産省の来年度予算概算要求が発表されました。それによるとZEHの普及に係る予算(ZEBも含まれたもの)は「住宅・ビルの革新的省エネルギー技術導入促進事業費補助金」として190億円が計上されています。昨年度予算が7.6憶円だったので25倍だと報道している業界紙もありましたが、実際は今年2月に成立している平成26年度補正予算で150億円の成立してますので、そちらと比較するべきですが、それでもそれなりの増額になっています。

国交省ではゼロエネルギー住宅の補助事業としてはグリーン化事業がありますが、来年度の概算要求では前回のブログに書いた通り、昨年と同額の要求額ですからこちらは現状維持といったところです。

そうなると、ゼロエネルギー住宅に関しては経産省がイニシアティブを握っているのでしょうか。今後、縦割りの弊害などが起きないように事業者にとって活用しやすい補助事業になってくれればよいとは思うのですが、どうでしょうか?

ZEHは本当に普及するだろうか

ロードマップ検討委員会の中間とりまとめでは様々な資料が掲載されています。H24-26に行われたZEH支援事業の内訳をみるとH26は75%がハウスメーカーです。全体的にハウスメーカーの占有率は高く、今後のZEHの取り組み方や目標が掲載されています。なんとなく地元工務店が置き去りにされているようにも思えますが、そんなことを考えると国交省の地元工務店向けのグリーン化事業とは対照的かもしれません。

現在行われているZEHの補助事業(H26年度補正予算)は5次募集まで進んでおり、1-3次の交付件数は以下の通りです。

1次公募 1,490件  2次公募 1,823件   3次公募 1,630件

合計で4,943件です。この事業から補助金額は一律130万となってますから(1-3地域では条件により150万)、65億円ぐらいの消化と思われます第4次公募が10億円で第5次公募は5億円ですから、予算(150億円)の半分以上はZEBではなくZEHだったという事になります。

中間とりまとめではZEHの普及、認知度向上のための策がいくつか挙げられています。それなりに認知度が広まっていくと思われますが、そうなるとやはり地域工務店も取り組むべきことと思います。ただロードマップを見ると「ZEH建築へのインセンティブ付与(建築補助)」が来年度までになっていて、それ以降の延長があいまいなところが気になります。できれば来年度含め3年間ぐらいは補助事業を継続してもらいたいところですが、経産省の場合補助対象が大手ハウスメーカーを向いているように思えるので、そこは難しいのかもしれません。

補助事業は寒冷地優遇も

東北での仕事が多いので、どうしても気になるのが地域差です。3地域、4地域が多いのですが、そうなるとどうしても断熱性能はそれなりのものが要求されてきます。ゼロエネ住宅の基本的な考え方はまずは断熱性能です。設備機器や、太陽光の性能よりも優先されるべきですが、5地域等と比べると当然寒冷地ではコストがかかります。ネットゼロエネの補助事業では1-3地域であればUa値が一定の数値をクリアすれば20万ほど増額されますが、現実的にはもう少し緩和された数値で補助金アップができないものか、と思ってしまいます。

ロードマップを見ると、経産省のZEH推進はハウスメーカーや大手住宅ビルダーに目を向けている傾向があり、やはり国交省が行う地域型住宅を推進する地域型住宅グリーン事業とは方向が違っているように思えます。パブリックコメントにおいては①寒冷地優遇、②地域工務店向けの2点を提案してみようかと思います。